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栃木県那須烏山市にある老舗の酒蔵「島崎酒造」は、日本酒「東力士(あずまりきし)」の蔵元として知られています。中でも注目なのが、第二次世界大戦時に造られた戦車製造工場跡地を活用した「洞窟酒蔵」の見学ツアー。日本酒がずらりと並び、奥へと続く薄暗い坑道。まるで映画のセットのような幻想的な空間を見学してきました。
製造設備を見て回る酒蔵見学とは少し違い、お酒が静かに眠る空間そのものを楽しめるのが魅力。日本酒好きはもちろん、旅行の途中でいつもと違う場所を訪ねたい人にもお薦めできる見学先だと思います。
僕は2025年6月中旬に訪問しました。試飲も楽しみたかったので電車で向かい、洞窟を見学した後は、離れた場所にある島崎酒造の本店まで歩いてみました。
洞窟で熟成されている様々な日本酒や、記念ボトルから溢れ出る人の想いを感じられる貴重な経験を体験することができました。

最初に注意しておきますが、島崎酒造と洞窟酒蔵は距離があります。最寄り駅も違いますし、歩くと30分くらいかかります。
また、洞窟で見学するのは日本酒の貯蔵・熟成の場所。 酒造りの作業や製造設備を見る見学ではありません。
現役酒屋としての目線も交えながら、行き方、洞窟の雰囲気、見どころ、見学後の試飲と買い物を紹介します。
島崎酒造の洞窟酒蔵|見学の基本情報とアクセス

島崎酒造は、1849年創業の「東力士(あずまりきし)」の蔵元です。洞窟酒蔵は、第二次世界大戦末期に戦車製造のために建設された地下工場跡を、日本酒の貯蔵庫として利用しています。この地下工場で戦車が造られることはなく、終戦を迎えたそうです。
まずは、見学の条件と行き先を確認しておきましょう。
開放日の見学と、平日の予約見学は条件が違う
| 項目 | 洞窟酒蔵の案内 |
|---|---|
| 所在地 | 栃木県那須烏山市神長字天神149 |
| 開放日 | 土日祝日・ゴールデンウィーク・お盆など。訪問日は公式の開放日カレンダーで確認 |
| 開放時間 | 10:00〜16:00 |
| 見学料金 | 20歳以上300円、20歳未満無料 |
| 開放日の予約 | 不要 |
| 見学方法 | 自動音声ガイドのタブレットを貸し出し。1グループにつき1台 |
| 駐車場 | あり。無料 |
| 問い合わせ | 島崎酒造:0287-83-1221 |
通常の平日に個人で見学する場合は、2日前までの予約が必要で、2名から受付となっています。開始時刻は10:30・14:00の2回。洞窟へ直接向かい、見学後に本店で料金を支払う案内です。平日は洞窟にスタッフが常駐していないため、予約時刻に合わせて訪問してください。
団体の見学は予約方法が異なります。また、特別開放などで通常の条件と変わる場合もあるため、日程を決める際は島崎酒造公式の洞窟見学案内・開放日カレンダーを確認してください。
※基本情報は2026年10月1日に確認。本文の見学体験は2025年6月中旬のものです。
電車で行くなら、洞窟は滝駅・本店は烏山駅
| 行き先 | 最寄り駅と徒歩の目安 | 住所 |
|---|---|---|
| 洞窟酒蔵 | JR烏山線「滝駅」から徒歩約15分 | 那須烏山市神長字天神149 |
| 島崎酒造本店 | JR烏山線「烏山駅」から徒歩約10分 | 那須烏山市中央1-11-18 |
僕が滝駅から歩いたときは10分ほどに感じましたが、公式の案内は約15分です。予定を立てる際は公式の目安で考えておくとよいでしょう。
駅から洞窟までは、何もない田舎道をひたすら歩いていく感じでした。途中の店に立ち寄りながら向かうような道ではないので、徒歩で行く人は飲み物などを用意しておくと安心です。
洞窟から本店までは、僕の足で約30分かかりました。見学後に試飲や買い物を楽しむなら、この移動時間も予定に入れておきたいところです。
車でのアクセスと駐車場
洞窟酒蔵へは、東北自動車道の宇都宮IC、北関東自動車道の宇都宮上三川ICから、それぞれ車で約40分が公式の目安です。洞窟と本店の両方に駐車場があります。
ナビには、最初に訪問する施設の住所を入力してください。「島崎酒造」で検索して本店へ向かうと、洞窟とは別の場所に着きます。
試飲する人は運転をせず、電車やタクシーなどを利用する計画にしましょう。
洞窟酒蔵レポート!受付から貯蔵スペースへ

田畑を眺めながら歩いていると、趣のある看板が出迎えてくれました。ここから、日本酒が眠る洞窟へ入っていきます。
タブレットを首にかけて、鉄の扉の向こうへ
訪問時は券売機で300円の入場券を購入し、受付でタブレットを借りました。
首にかけて持ち歩けるので、両手を空けて見学できます。

入口は鉄の扉で閉じられています。扉を開けたままにするとコウモリが入ってしまうとのことで、入った後は閉めるよう案内がありました。
外からは中の様子が分かりにくい分、この扉を越えるところから探検気分が始まります。

6月でもひんやり。壁や床には湿り気がある
洞窟に入ると、ひんやりした空気に包まれました。温度が低いだけでなく湿度も高く、壁や床は濡れています。
歩きにくいとは感じませんでしたが、6月でも上着が欲しくなる涼しさでした。外の気温だけで服装を決めず、羽織れるものを一枚持っていくとよいと思います。

中は薄暗いものの、完全な暗闇ではありません。照明に照らされた日本酒と、奥まで続く坑道を眺めながら歩けます。
完全な暗闇ではないので、洞窟の非日常感を楽しみながら、探検するように歩けると思います。
説明スポットで音声が流れるので、自分のペースで見学できる
順路を進んで説明スポットに来ると、タブレットが自動で解説を始めてくれます。洞窟の貯蔵環境や日本酒について、看板と音声の両方で知ることができました。

特に、熟成によって日本酒の色が変わる説明は、瓶が並ぶ風景と一緒に見るとイメージしやすいものでした。ただお酒が置いてある場所を歩くだけでなく、そのお酒がここで過ごしている時間にも目が向きます。

途中には顔出しパネルもありました。貯蔵庫の落ち着いた雰囲気だけでなく、記念写真を撮る楽しみもあります。
洞窟酒蔵の見どころ|長い坑道と、未来を待つ日本酒
奥行きのある坑道と、熟成に使われる貯蔵環境
洞窟は3本の坑道と、それをつなぐ5本の横坑で構成され、総延長は約600mあります。これは洞窟全体の長さで、見学者が必ず600mすべてを歩けるという意味ではありません。

見学に適さない、酒蔵の人たちの作業場なんかもあるのかもしれません。
数字で聞くより、実際に薄暗い坑道を見たほうが長さを感じました。奥まで続く空間に日本酒が並んでいる様子は、普通の売り場で瓶を見るときとは印象が違います。
公式によると、洞窟は日光が入らず、年間平均気温が約10℃。季節によって緩やかに温度が変わる環境を、日本酒の貯蔵・熟成に利用しています。
酒屋で働いていると、日本酒は造られた直後の味だけで語られるものではないと感じます。ここでは、出来上がったお酒をどんな場所で寝かせ、どんな味わいに育てていくかを見ることができます。
島崎酒造の洞窟熟成酒「熟露枯(うろこ)」は、その貯蔵環境を活かしたシリーズです。熟成は、時間が長ければ一律に良くなるというより、狙う味わいに合わせてお酒と環境を選ぶもの。洞窟の風景を見てから売店の瓶を見ると、ラベルに書かれた熟成年数も少し身近に感じられると思います。
商品の種類は島崎酒造公式の「熟露枯」紹介で確認できます。
オーナーズボトルには、一瓶ずつ人の思いがある
もう一つ印象に残ったのが、オーナーズボトルの貯蔵スペースです。

オーナーズボトルは、大吟醸の日本酒を5〜20年間、洞窟酒蔵に預けておく仕組み。子どもや孫が生まれた記念に申し込み、20年後のお祝いに受け取る、といった楽しみ方があります。
見たところ、子どもが生まれた記念に預けたと思われるボトルが多いように感じました。奥まで続く瓶を眺めていると、単に日本酒を保管しているのではなく、それぞれの家族の「その日」を待っているようにも見えます。
僕も、息子が生まれたときに購入しておけばよかったかも……と思いました。
長期熟成の仕組みを知るだけでなく、人がお酒に託した思いを感じられたのは、ここならではの体験です。制度の詳細は公式のオーナーズボトル案内にまとまっています。
見学後は洞窟売店へ。本店でも試飲と買い物を楽しんだ
洞窟売店では熟成酒を見られる
一通り見学した後は、一段下にある販売スペースへ移動しました。

訪問時には、1,500円の熟成古酒の飲み比べが案内されていました。僕はこの有料試飲を利用せず、後で本店へ向かいました。
この金額は2025年6月の訪問時の情報です。現在の試飲メニュー・料金・実施状況は、当日確認してください。見学料300円に有料の飲み比べが含まれるわけではありません。
公式では、洞窟売店は開放日のみ営業し、蔵元限定の洞窟熟成酒を販売すると案内されています。予約して平日に見学する場合も、売店が同じように営業しているとは限らない点に注意しましょう。
小雨の中、本店まで約30分歩いてみた
洞窟酒蔵と島崎酒造本店の間では、電車で来た人向けに無料自転車の貸し出しも案内されています。ただ、僕が訪れた日は小雨が降っていて、自転車の貸し出しはありませんでした。
そのため、本店まで歩いて移動することに。
今回歩いたルートでは、長いトンネルを抜けると、きれいに舗装された道に出ました。そこからしばらく歩き、右へ曲がった先で本店が見えてきます。

歩いて約30分。大きな「東力士」の看板が出迎えてくれました。上の道順は僕が歩いたときの様子なので、実際の移動では地図でルートを確認してください。
自転車の貸し出しを必ず使える前提で予定を立てず、雨の日などは徒歩やタクシーも考えておくとよいでしょう。試飲をする場合は、自転車も運転できません。
本店で試飲し、口当たりの優しい一本を購入
本店に入ると、さまざまな日本酒が並ぶ売り場がありました。訪問時は無料で試飲でき、気になったお酒を実際に飲んでから選ぶことができました。

購入したお酒は、喉ごしや口当たりの優しさが印象に残っています。当時は辛めの日本酒や酸度の高いお酒を飲むことが多かったので、少し優しい味わいを求めていたのかもしれません。気分に合う一本を試飲して選べたのは、うれしい時間でした。
本店では、清酒や長期熟成酒、リキュール、食品、オリジナルグッズなどを販売しています。常設の利き酒ルームもあり、公式の見学案内では無料・有料の試飲が案内されています。飲める銘柄や条件は来店時に確認してください。
本店の営業時間は9:00〜17:00、定休日は元日です。詳しくは公式の店舗紹介をご覧ください。
\東力士の熟成酒の代表!/
実際に行った感想|洞窟の非日常感を楽しみたい人に
僕にとって洞窟酒蔵の面白さは、薄暗い坑道を歩きながら、日本酒が長い時間を過ごす場所を見られることでした。
ひんやりとした空気、奥まで続く貯蔵スペース、未来のお祝いを待つオーナーズボトル。お酒を飲むだけでは分からない楽しさがありました。
日本酒に詳しくない人や、試飲しない同行者でも、洞窟の非日常感は楽しめると思います。製造工程の知識がなくても、探検するように歩いたり、記念ボトルの意味を知ったりする面白さがあります。
ただし、酒造りの作業や製造設備を見られると思って行くと、期待と違う可能性があります。 ここは、お酒を造る現場ではなく、出来上がった日本酒を貯蔵・熟成させる施設です。
「どんなふうに日本酒を造るのか」より、「日本酒をどんな場所で寝かせているのか」に興味がある人に、特に向いている見学だと感じました。
行く前に知っておきたいこと|所要時間・服装・移動
洞窟の見学に加え、本店へ行く時間も確保する
僕が過ごした時間は、洞窟が約35分、本店が15〜20分ほどでした。さらに、洞窟から本店への徒歩移動に約30分かかっています。
| 当日の行程 | 僕が使った時間 |
|---|---|
| 洞窟酒蔵の見学 | 約35分 |
| 洞窟から本店への徒歩移動 | 約30分 |
| 本店での試飲・買い物 | 約15〜20分 |
合わせると約80〜85分ですが、これは僕の訪問時の実績です。滝駅から洞窟までの移動や帰りの時間は含んでいません。
公式の平日個人見学案内では、見学時間は15分程度とされています。写真や展示を見て回る時間、買い物の時間を含め、過ごし方によって変わると考えておくとよいでしょう。
上着と歩きやすい靴を用意する
6月でも上着が欲しくなる涼しさでした。温度調節できる羽織りものと、濡れた床でも足元が安定する靴がおすすめです。
特に徒歩で本店まで回る人は、洞窟の中だけでなく、屋外の移動も考えて服装を選びましょう。雨予報の日は雨具も用意しておきたいところです。
初めて酒蔵へ出かける方は、予約や試飲、服装・持ち物をまとめた「酒蔵見学では何をする?予約・試飲・服装まで現役酒屋が解説」も、準備の参考にしてみてください。
子ども連れや、段差が気になる人は見学範囲を確認
公式では子どもも見学でき、20歳未満の見学料は無料です。洞窟内部はバリアフリーと案内され、洞窟横にはトイレもあります。
一方、僕が訪れたときの売店への移動には階段がありました。売店まで含めた移動に不安がある場合は、事前に利用できるルートを施設へ確認してください。薄暗さや涼しさの感じ方も人によって違うので、同行者に合わせて予定を立てるとよいと思います。
まとめ|洞窟で日本酒が眠る時間を感じられる見学
島崎酒造の洞窟酒蔵は、日本酒を貯蔵・熟成させる空間を実際に歩ける見学先でした。僕が特に印象に残ったのは、坑道の奥行きと、家族の記念日を待つオーナーズボトルです。
製造現場を見学する場所ではありませんが、洞窟の非日常感や、日本酒を寝かせるという楽しみに触れたい人には面白い場所だと思います。
訪問前には、公式カレンダーで開放日を確認し、本店にも寄るなら移動時間まで考えておきましょう。上着を一枚用意して、洞窟の見学と、その後の試飲・買い物を楽しんでみてください。
でわでわ。



