千葉・久留里駅で酒蔵巡り!日本酒好きの聖地を歩いてみた【現役酒屋の体験レポート】

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千葉県君津市の久留里(くるり)は、「平成の名水百選」に選ばれた地下水が今も駅前で自由に汲める、知る人ぞ知る水と酒の町。実際に久留里駅で降りて酒蔵巡りをしてきたので、酒屋に勤める僕の目線でレポートします。

久留里駅から徒歩圏内だけで日本酒の蔵が3軒、さらに駅前の交流センターでは周辺8蔵の飲み比べもできてしまう。久留里の日本酒の銘柄や、千葉の酒蔵巡りをしてみたいと考えている人にとって、行く前に知っておきたい情報や、実際に酒蔵を訪れた感想や酒蔵ごとの酒質のこだわりや味わいの違いをまとめました。

久留里が日本酒好きの聖地と呼ばれる理由

木更津駅からJR久留里線に揺られること約50分。久留里は江戸時代に久留里藩の城下町として栄えた町で、地下450〜650mから毎分600Lも湧き出る自噴井戸が今も駅前にあります。この「生きた水」は乳酸菌などを含む軟水で、環境省の「平成の名水百選」にも千葉県で唯一選ばれました。

この名水を仕込み水に使う酒蔵は、かつては5軒。現在も久留里駅の徒歩圏内だけで3軒が残っています。

酒蔵代表銘柄駅からの目安この日の状況
須藤本家天乃原/房総ウイスキー徒歩約10分店頭で対応してもらえた
藤平酒造福祝徒歩約5分有料試飲OK
吉崎酒造吉寿徒歩約5分門が閉まっていて入れず

ここからは、実際に回った順番でレポートしていきます。

①須藤本家|天乃原と千葉県初の地ウイスキー「房総ウイスキー」

1885年(明治18年)創業。銘柄「天乃原」は蔵のある小字「天王原」に由来していて、敷地内の地下約500mから湧く天然水を仕込み水に使っています。全国新酒鑑評会でも何度も金賞を受賞している実力派です。

近年は日本酒需要の落ち込みを受けて、2018年に千葉県内で初めてウイスキーの製造免許を取得。2020年に発売したのが「房総ウイスキー」で、自社製モルトと英国産スコッチをブレンドし、スモーキーさは控えめで日本人好みの甘い香りに仕上げているそうです。

※過去の日経新聞の記事ですが、千葉県初のウイスキーという事で当時はかなり注目されていました。

7月という酒の仕込みをしていない時期に伺ったことと、朝早い時間に訪れたことで、蔵見学というよりは店頭のショップで少し店員さんとお話をした程度の訪問となりました。開店直後は蔵人が製造作業をしていることも多いので、じっくり見学したい方は日中の時間帯を狙うのがよさそうです。

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房総ウイスキーはコスパ良く、甘い香りが強いのでハイボールなどで飲むと、より美味しく飲める銘柄だと思います。

須藤本家の代表銘柄・天乃原、房総ウイスキー

\須藤本家と言ったらこの銘柄!/

②藤平酒造|「福祝」を3杯まで飲み比べ

1716年(享保元年)創業、兄弟3人で酒を仕込む家族経営の蔵。看板銘柄「福祝」は、七福神の「福」から名付けられました。ショップでは有料試飲をさせてもらえます。

「3杯までしか飲めません」という注意書きがあったので、ありがたく3杯いただきました。おそらく酔っぱらいすぎないための配慮なのだと思います。試飲したのは以下の3種です。

銘柄タイプ感想
福祝 純吟 山田錦 五割磨き純米吟醸(実質は純米大吟醸)最近多い甘酸っぱい系ではなく王道の淡麗辛口。やや吟醸香もあり美味しい。価格はやや高めに感じたが、山田錦の純米大吟醸相当と考えれば納得
福祝 純米酒純米酒少し重めだが香り控えめで、料理の名脇役になってくれるタイプ
福祝 直汲み 純米大吟醸純米大吟醸香りもあって華やか。単体で飲んでも美味しく、和食との相性も良さそう

「五割磨き」はスペック上は純米大吟醸ですが、他の銘柄との差別化のためにあえて純米吟醸として販売しているとのこと。このあたりは酒屋で働いているとつい気になってしまうポイントです。

ショップには福祝のTシャツや前掛け、お猪口、ピンバッジなども並んでいました。僕の勤めている酒屋では取り扱いがないので、さすがに仕事用のTシャツや前掛けは買えませんでしたが、一日本酒ファンとして物欲を刺激されました。お店のすぐ隣には井戸があり、実際に水を掬って飲むこともできます。

※藤平酒造の隣の井戸
見学当日は夏日だったので触れるだけで気持ちよかった。

藤平酒造の代表銘柄・福祝

\藤平酒造と言ったらこの銘柄!/

③吉崎酒造|千葉県最古、寛永元年創業の蔵

1624年(寛永元年)創業と伝わる、千葉県で最も歴史の古い酒蔵。代表銘柄は「吉寿」で、敷地内に3つの井戸を持ち、地下数百mから湧く軟水で酒を仕込んでいます。

藤平酒造のすぐ近くにあるのですが、この日は残念ながら門が閉まっていて中に入れませんでした。公式サイトには「現在、蔵見学は実施していない」との案内もあるので、タイミングによって売店が開いていないこともあるようです。次回はぜひ開いている時間に訪れてみたいですね。

吉崎酒造の代表銘柄・吉寿

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④生きた水久留里 酒ミュージアム(久留里観光交流センター)|8蔵19種を飲み比べ

久留里駅を出てすぐの「久留里水汲み広場」の隣にある施設で、君津・富津の「かずさ八蔵」の地酒19種類を試飲できます。おちょこ1杯200円、3杯選ぶと600円で久留里の名水のペットボトルが1本付いてくる、お得な仕組みです。

僕が試飲したのは以下の3杯です。

銘柄感想
吉寿 吟醸酒(吉崎酒造)最近流行りの吟醸香はあまりなく、昔ながらの酒の香りが特徴的。しっかり辛口で味わいは重め。流行にかすってもいない我が道を行く酒で、一周回って好きになるタイプ
飛鶴 特別純米(森酒造店・記憶あいまい)王道の香り控えめタイプで、料理に合わせやすい。燗を付けても美味しそう
竹岡 特別純米(和蔵酒造)低温発酵・無濾過。香りもややあり、ほんのり甘めだけどスッキリ飲める、個人的に大当たりの一杯

駅前で名水を汲める「生きた水の里 久留里」

久留里駅前には自噴井戸があり、地元の人が車で水を汲みに来る姿も見られます。「平成の名水百選」に選ばれた久留里の水は、地下450〜650mから湧き出る古代からの恵み。誰でも無料で自由に汲むことができるので、ペットボトルを持って行くのがおすすめです。

次回行ってみたい酒蔵|森酒造店(飛鶴)と和蔵酒造(聖泉・竹岡)

久留里では他にも数か所の酒蔵が紹介されていましたが、駅から歩いて行けるのは今回紹介した須藤本家・藤平酒造・吉崎酒造の3軒まで。それ以外はさすがに距離がありすぎました。

もし時間があれば、次は以下の2蔵にも足を延ばしてみたいと思っています。

  • 森酒造店(飛鶴):久留里駅から車で約5分、愛宕山麓の湧水を仕込み水に使う小さな蔵。代表銘柄「飛鶴」はコクのある飲み口が特徴
  • 和蔵酒造(聖泉・竹岡):富津市竹岡の「竹岡蔵」で日本酒、君津市貞元の「貞元蔵」で焼酎・リキュールを製造する珍しい蔵元。竹岡蔵は上総掘りの深井戸から湧く水で仕込んだ「聖泉」「竹岡」が代表銘柄

特に和蔵酒造は、蔵が2か所に分かれている点に個人的に惹かれています。酒ミュージアムで飲んだ「竹岡」の酒質も好みだったので、次回は蔵見学も含めて訪れてみたいです(竹岡蔵の蔵見学は11月〜3月の酒造期のみ、要予約とのこと)。

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久留里はコンパクトに酒蔵巡りができる希少なエリア

駅を降りて徒歩圏内に酒蔵が3軒、駅前の井戸で名水を汲め、駅前の交流センターで地域のお酒を試飲できる。日本酒好きにとってはたまらない町でした。

  • 木更津駅からJR久留里線で約50分、久留里駅下車
  • 徒歩で回れるのは須藤本家・藤平酒造・吉崎酒造の3軒
  • 有料試飲は「生きた水久留里 酒ミュージアム」(久留里観光交流センター)がおすすめ。10:30〜17:00開館(試飲は10:30〜16:00)、月曜休館
  • 試飲がメインなら公共交通機関がおすすめ(車の運転手の場合はノンアルコールの甘酒も用意されています)

久留里線は本数が少ないので、事前に時刻表をチェックしてから出かけるのをおすすめします。時間にもよりけりですが、1時間に1本ぐらいしか電車が来ません。本当に気を付けて!

次回は和蔵酒造・森酒造店にも足を延ばして、また現地レポートをお届けしたいと思います。

でわでわ。

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