12月に入ったらやっと冬らしく寒くなってきましたね。こんな時には熱燗をちびちび吞みながら温かい鍋やおでんを食べたいですね。もしくはあたりめ炙って齧りたいです。
今回は燗酒にして美味しいお酒を紹介していきます!
本ページはアフィリエイトプログラムを利用しています。
そもそも燗酒とは
燗酒ってなに?という方のために簡単に説明すると、燗酒とは日本酒を温めて飲む呑み方で、一般的には湯煎した日本酒を指します。日本酒を温めることで、常温や冷やでは感じにくい繊細な味わいと香りが引き立ち、旨みやコクなどの個性を堪能できる呑み方です。
怒られそうだからあんまり言いたくないけど、ぶっちゃけ家で吞む分にはレンジでチンで良い気もします。香りが若干飛びますが、圧倒的に手間がかからないので。
燗酒は温度帯によって呼び名が異なり、一般的には次のとおりです。
- 日向燗(ひなたかん):30℃、
- 人肌燗(ひとはだかん):35℃ 体温ぐらいの温度
- ぬる燗(ぬるかん):40℃、お風呂ぐらいの温度
- 上燗(じょうかん):45℃、熱めのお風呂の温度
- あつ燗(あつかん):50℃、熱いけどギリギリ徳利を持っていられるくらいの温度
- 飛びきり燗(とびきりかん):55℃、熱くて手では持てないくらいの温度
このように決まってはいますが、日本酒にこだわりのあるお店はさておき、普通の居酒屋で上に書いてあるような呼び名で注文すると嫌な顔をされる可能性が高いと思います。もし、入った店が熱燗に対してどの程度対応してくれるか分からない場合は注文するときに「このお酒、燗で下さい」と注文しましょう。ある程度こだわりのあるお店でしたら「どのぐらい燗つけましょうか?」と聞いてくれるはずです。逆に何も聞かれなかった場合はだいたい「あつ燗」で出てくるパターンが多いので、ゆっくり下がる温度を楽しみながらお酒を呑みましょう。
おすすめの燗酒に合う日本酒
特定名称別におすすめの日本酒を紹介していきます。気になる日本酒が見つかったらぜひ手に取ってみてください!生酛造りや山廃造りの特徴の一つである酸味が、燗をつけたときに良い作用をする酒が多いので生酛、山廃系のお酒が多くなっています。
僕の主観と偏見ごりごりのオススメの温度帯なんかも書いてます。一つの参考にどうぞ!
純米吟醸の部
基本的に香り高い吟醸系のお酒は燗酒に適さないと言われていますが、その中でも燗酒に適したものを1本ピックアップしてみました。
富成喜 純米吟醸 神力米 限定二百貫
福井県の酒蔵で「神力米」という米を使用したこのお酒は小仕込みのお酒なので場合によっては欠品している事もあります。米の奥深い旨味と、切れの良いのど越しが◎。香り高い吟醸系のお酒は燗酒に適さないと言われている中で、燗酒コンテストで最高金賞を受賞した逸品です。純米吟醸酒の中では香りが控え目ですので燗酒にすると香りの立ち方のバランスがとても良いです。ぬる燗からあつ燗ぐらいの温度で美味しく呑めるお酒です。
純米酒の部
純米酒は燗をつけると辛みが強調されると言われていますが、味のバリエーションが豊富なので燗酒に適したお酒が沢山あります。
神亀 純米酒
いきつけの焼き鳥屋で初めて注文した時にびっくりするぐらい美味しくて、僕が燗酒にはまったきっかけのお酒です。ほどよい熟成感があり、湯気と共に上がってくる香りも楽しめる。本当におすすめの逸品です。
燦然 木村式奇跡のお酒 純米雄町70
↑のリンクは1800MLなので購入時は気を付けてくださいね。
木村秋則氏の提唱する、肥料・農薬に頼らない自然栽培で収穫した岡山県産雄町米を全量使用したお酒。冷で呑むと重~い感じ。あつ燗にするとフワッと香りが立ち、飲み口もマイルドになって滅茶苦茶美味しいです。
五人娘 純米
自然栽培米を使用した生酛仕込の純米酒です。冷でも燗でも美味しく呑める、心地よい酸味が特徴のお酒ですが、燗をつけるとまろやかな米由来の味を楽しめます。
玉川 自然仕込 純米酒(山廃)やんわり
通常の日本酒はアルコール度数が15~16度のところ、12~13度と低アルコールになっています。やさしい味わいなので、あつ燗が少し冷めたぐらいの上燗で呑むと美味しかったです。ネーミングに引っ張られるのか、やんわりした気持ちになれます。
千代田蔵フクノハナ山廃純米原酒
冷でも燗でも美味しく呑めるお酒です。酸味のバランスが良いのが特徴で、燗をつけても辛くなりすぎないのが良いところ。
誉國光純米白ラベル
20年前に家族旅行で行った蔵見学で出会った土田酒造の銘柄です。今は純米生酛造り専門の蔵になっています。生酛造りならではの酸味と米の旨味のハーモニーが良い感じです。家でダラダラと呑んでいたい…!
初孫生酛純米
以前得意先の居酒屋で燗にしていただきました。チロリに入れたお酒をお湯の入った陶器に入れて好きなタイミングでお猪口に注いで呑むスタイルでした。
それまでは冷蔵庫で冷やした初孫しか呑んだことが無く、正直喉につっかかる感じもして好きになれませんでしたが、燗を呑んでその考えは一変しました。めちゃくちゃ呑みやすいし、味が乗ってるのが分かります。ぬる燗からあつ燗まで美味しく呑める
達磨正宗甘口純米
達磨正宗は熟成酒が有名ですが、こちらは熟成酒ではありません。甘口でやさしい味わいが燗にもよく合います。
あつ燗よりも少し冷めた上燗ぐらいがマローンとして美味しいです。
百十郎赤面辛口純米
このお酒を造っている林本店さんは無添加乳酸菌発酵という製法で日本酒を造っている蔵元です。この百十郎赤面は季節毎に造っている百十郎シリーズとは異なり通年販売されている定番商品なので、季節問わず呑めるのが魅力のお酒です。旨味、喉ごし、キレの良さと主張しすぎない香りで冷から燗まで対応する懐の深さを感じます。
燗をつける時の温度はあつ燗からとびきり燗がオススメ。中途半端な温度は嫌いだぜ!って顔の隈取りがこちらを見つめています。
うまからまんさく特別純米
まんさくの花というシリーズ展開しているお酒を造っている蔵元の定番酒です。季節毎に展開されるまんさくの花は常温から冷酒で呑むと美味しい酒が多いですが、このお酒は冷から燗までどんな温度にも対応する万能選手です。
コタツに入ってスルメ噛りながらぬる燗でダラダラ呑む。そんなダメ人間になりそうな呑みかたって…
最高ですね!
月の輪純米
香り控えめなタイプで冷から常温までは目立った香りはありませんが、温度が上がってくると独特の良い匂いが上がってきます。後味のキレが良いので温度を上げすぎると逆に喉ごしが悪くなるかも。
個人的にはぬる燗から上燗ぐらいがオススメ。
酔鯨 特別純米
高知県のお酒で冷酒でも燗でも美味しく呑めるお酒です。味も香りも申し分ないのですが、冷酒の場合味と香りに蓋がしてある印象です。ワインのテイスティングのように口の中で空気と混ぜることにより本来の味と香りが口の中に広がります。燗をつけることによっても味と香りが花開き、とても美味しく呑むことができます。
本醸造、普通酒の部
本醸造や普通酒は純米酒と比べて燗をつけたときの辛みが柔らかいと言われています。
自然郷さわやか辛口本醸造
自然郷、楽器正宗等で有名な蔵元の定番本醸造酒です。軽快な飲み口とキレの良さが特徴のお酒で、燗をつけるとその特徴がより鮮明に感じられるはず。酸味少なめなので、「なんか酸っぱい酒嫌いなんだよな~」っていう人にもオススメ。
山猿からくち本醸造
冷酒だと飲み込むのに苦労するタイプのお酒ですが、あつ燗にすることによって、クックッと呑めるようになります。
また、ひれ酒にすると爆発的に美味しくなります。ヒレの焦げた匂いとフグのうっすらとした香りがお酒との相性が抜群です。さすが山口県のお酒!
浦霞本仕込本醸造
本当は「浦霞からくち本醸造」を紹介しようと思ったんですが、「からくち本醸造」を連続で紹介するのもなぁ…と思いこちらを紹介します。
冷でも燗でも美味しく呑める、そしてコンビニでもスーパーでも比較的簡単に手に入る。価格が良心的。家で日常的に呑むのにこれ程適した酒は無いんじゃなかろうか。というぐらいオススメのお酒です。
冷酒で美味しく呑める日本酒の記事を書いたとしてもラインナップに入りますね。
ほたかの雪本醸造
群馬県の永井酒造が造っている群馬県限定流通のお酒です。群馬県に旅行に行ったときには必ず買って帰っています。
お刺身等とよく合い、冷酒から燗酒まで美味しく呑むことができます。癖がない味でどんな温度でもスイスイ呑むことができます。
白鶴 飛翔 本醸造
↑のリンクは1800MLなので購入時は気を付けてくださいね。
居酒屋で酒燗機に刺さっているのを呑んだことがありますが、燗酒の一つの正解を呑んだ気分になりました。
そうそう、こういうので良いのよ。料理の邪魔をしない主張の少ないテーブルの名脇役!
越乃景虎龍
新潟の銘酒の一つである越乃景虎の普通酒です。鰻屋さんで呑んだ時に美味しかった。あつ燗ぐらいの温度だったと思います。タレと相性が良いのかなぁ。
冷酒でも美味しく呑めますが、上燗ぐらいから普通酒特有の荒々しさが減り、優しい味わいに変化してきます。
八海山 普通酒
こちらも新潟の銘酒の一つですね。有名すぎて説明も必要無いかもしれません。冷酒でも燗でも美味しく呑めるお酒です。八海山は特別本醸造酒も燗酒に良く合うのですが、コスパを考えると普通酒かなぁ。
個人的にはぬる燗ぐらいで呑むと旨味がよく出てくると思います。
真澄 辛口ゴールド
長野県の銘酒、7号酵母発祥の酒蔵である「宮坂醸造」の定番酒です。面白いのは添加する醸造アルコールの一部に自社の粕取り焼酎を使用しているところでしょう。
香り控えめで味の余韻も短めなので、火傷しない程度の温度でトクトクトクッとお猪口に注いでキュッと呑みきる。そして料理を食べるのに専念して箸休めに再度お猪口に注いでキュッと呑む。無限ループでへべれけコースまっしぐらです。
最後に…
ネガティブな話をすると、僕は燗酒は現代ではあまり人気の無い呑みかただと思います。最近の季節限定醸造のお酒は、香りが高くスッキリした甘口の酒が「ライチ、バナナ、イチゴ、デラウェア」等の果物系に例えられることが多い事からも燗酒に適しているとは言いがたい状態だと分かると思います。
しかしながら上で紹介したように、燗酒にすることにより旨味が爆発するお酒も豊富に造られています。食卓で日常的に呑むお酒のバリエーションの一つとして燗酒が候補に上がると、よりお酒の楽しみかたが広がって充実した晩酌ライフを送れると思います。
この記事も参考にして、気になる日本酒を見つけてくれたら嬉しいです!皆様の燗酒ライフに乾杯!
でわでわ。